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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「どうも! 『赤巻紙青巻紙黄巻紙』という必殺技(魔法)があったとして、これを放つハイリターンを取るか、これを放とうとして舌を噛むハイリスクを取るか、大魔王を目前にして内心のせめぎ合いに足下をすくわれる危険性をひしひしと感じていますが、まず間違いなく必殺技(魔法)に昇格することはないと思います! 青巻紙赤巻紙きまきまギ―――っ」

「あーあ、噛んだ。それ見たことか。
 はいはい、こっちがDNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)ですよーどうもどうも。こいつはアレです。ハイラスヘン京田デリアとか、そんなやつです。おそらく趣味は、落ち葉をちぎってまわったりとか。あとそうだ。雑種」


「うー!!」

「とまあ、ンなこたぁどーでもよくってですね。
 とりあえず前の記事までが『きみをはかるじょうぎはぼくにそぐわない』中編になります。読者の皆さん、今日までお付合いくださりまして、誠にありがとうございました。皆さんの毎日の暇つぶしのちょっとしたアクセントとなるべく、えっちらおっちらと完結するまで連載を続けていく所存ですので、どうか後編も引き続きお楽しみくださればと思っています。ぺこり」


「(ぺこぺこ)」

「毎度毎度のことですが、ここいらでひとつライトノベルらしく、あとがきを挟みたいと思います。前回は、ブログ小説をやってみようという切っ掛けと、プロット選択の動機について、割と真顔でお話しさせていただきました。今回はどうしましょう? ハイ京デリーはどう思います?」

「ナチュラルに定着させた挙げ句愛称まで!? 違います嘘です洗脳には断固抗います。こちとらDNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)です皆さんオハコンニチバンハ! またしても分裂してみました!」

「その挨拶よりは定着するのが自然なことだと思いますけどねぇ。ハイ京デリー」

「分裂することをあとがきに定着させた不自然のかたまりに言われたかねぇです。心底」

「お互い様すぎません? そのせりふ」

「そんなことよりはい! あとに書いてホラ、あとがき!」

「そーでしたね。ええと。なんの話だったか。あ。ハイ京デリーってなんの略だっけ? についてか」

「どうしてもそこにウェイトを置かにゃならんですかっ!?」

「そうですね。おかしいですね。確かに、略称だけ頭に残って本体が不在になるのは本末転倒」

「外れたように見せかけておきながら微動だにしていない! おのれ俺! 憎し!」

「じゃー今回は、そーですね。前回は、この企画の起承転結の『起』パートについてお話しさせていただきましたから、『承』とか『転』あたりについてはいかがですか?」

「ええ。そうしましょう。割と悪ふざけは排除気味にいきまっしょい。はい」

「うむ。で、あらば。

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「佐藤か?」

「あ。うん」

「今、電話いいか?」

「うん」

「メール見た。いいよ。どういう予定か知らんけど、俺で良かったら、その日付き合うわ」

「あ―――そりゃ良かった。けど、」

「けど? どうした?」

「電話。掛け直してまで返事してくるとは意外だった。仕事モードどしたの? 休憩時間?」

 佐藤は、素直に驚いていた。麻祈が、電話通話は急用・メールなどそれ以外の連絡手段は単なる野暮用と使い分けていることを知っており、かつ就業時間中は仕事しかしたがらないのを知っているからだ。

 だからこそ麻祈は、咄嗟にはぐらかした。裏声でおどけて、ついでにいつもの癖でオカマの手つきを口許に添えつつ。

「いやーねーェ、デェトに浮き足立ってるカレシに向かってなぁんてコトのたまってくれちゃうのかしらーあ、このカワイコちゃんはーあ。そんなこと言ってると、イタイ目みせちゃうぞー」

「うん。もう見てる」

「ふはははは。俺こそがイタかろう。その通りじゃわい。狙い通りじゃわーい」

「はいはい。分かった分かった。なら、また連絡するからね。んじゃね、アサキング」

 通話が切れた。

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(……そっか。俺、もう蜜穂さんより年上なのか)

 ふと、それを思い出した。

「長生きしたなぁ」

 呟く。

「親孝行したなぁ」

 ついでに、思いつく。

「ここまで長生きしといて、なぁんか今日も生き延びそうだなぁ」

 ということは、また今日も、動きまわったり腹が減ったり用を足したり、あれやこれやちょこまかとまめまめしく浮き沈みして苦しまなければならないのだ。多分。まず間違いなく、腹はこれから減るだろうし。昼だから。

「めんどくさいなぁ」

 本音である。

 本音であることに、また一段とうんざりだ。

「あーあ。死んじゃおっかなー。いや。やっぱ駄目か。死んだら」

 と。

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「 Nor I(おれもだ) . 」

 寝言で目が覚めた。

 目をしばたいて頬杖から顔を上げると、いつもの見慣れた医局である。よくある顔が、ありきたりの顔つきで、いつもながら働いている……あるいは、働かないでいる。それをみるに、まだ昼休憩かどうかといったところで、そう長くうたた寝していたようではないようだ。

(…………―――いつの夢だ? 今の)

 顔を撫でて妙なでこぼこが残っていないかひとしきり確かめつつ、麻祈は自分のデスクでひとりごちた。

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「おいおい大丈夫か? もう手遅れだったのに、爺ちゃん婆ちゃんに説き伏せられて手術して、やっぱり駄目だったけどそれでもってイタチごっこ続けて。それが悲惨過ぎるってんで、あの親父が、二度目の駆け落ちに踏み切ったんじゃないか。おかげであの人、未だにこの家の敷居を跨げないんだぞ。大和撫子を畳の上で死なせてもやれなかった馬の骨って、どんだけ爺ちゃん怒り狂ってたか」

「うーん。やたらハウスキーパーしか家の中にいないなーって思った時期はあった気がする」

「他人事だな。おい」

「がきんちょのオツムにゃ、あっちもこっちも大変だったって印象が強過ぎたんだろうさ。ハウスキーパーは初めて見る日本人の子どもを腫れ物に触る扱いだったし、圭一さんもやることだらけでノイローゼ気味だったし。いつの間にか、ゆゆは日本送りにされてるし。俺は俺で……まあ、ちゃんと勉強できるだけ、ありがたいなーと」

「なんじゃそりゃ」

 完全に引き腰になって、桜獅郎が嘆息する。

「そりゃま、勉強好きだからこそ医者なんかやりたいんだろうけど」

 その勘違いを、麻祈は正そうとも思えなかった。兄は兄らしい尺度の正しさに準じている。字の読み書きが出来ないからガス管と水道管を溶接しても気付かない、自らの人件費を安く買い叩かれたところで算数が出来ないから騙される、歴史を知らないから言われるまま殺し合う、あのぞっとしない連鎖を知らない兄は、日本国のシステムがいかに恵まれた貴重なものか分からないのだ。本当に豊かな国だと思う。

 麻祈は、目を閉じた。そのまま、栓のないことを駄弁る……

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
16
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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