.ある日、紫乃は携帯電話を手に取った。葦呼へ連絡するつもりでいた……葦呼ではなく、麻祈について、彼の友人という見地から得た情報を、それとなく誘い出せたらと思っていた。
別に、たいした個人情報でなくとも良いのだ(あってもいいけど。誕生日とか)。好きな色でもいいし、好きな映画でもいい―――映画と言わず、もっと幅広く、愛好しているエンタメのジャンルについてでもいいし、愛用の品なんかがあれば教えてほしい。品でいいから肖(あやか)りたい。美人の爪の垢ほどでもいいから。
(愛用の品って言えば、葦呼ってずっとガラパゴス・ケータイだっけ)
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