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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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(友達と……ってことは、サークル仲間の男と組んで、サークル代表で買いに出たのか? ってことはヘタな手打ったら、もれなく全部この人が悪いってことになるのかよ。それは困るよなぁ。溺れてるんだから、こんな藁にも縋りたくなるよなぁ)

 医大時代の記憶が、頭をよぎる。

 麻祈は、銜えたままのスプーンをぴこぴこさせた。そうさせたところで、物思いは散ってくれなかった。スプーンの梃子の動きと物思いになんの因果関係も無いことが証明された。

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(……あの人にとっては、俺のこれが、あのテンコ盛りのパンだったのかな?)

 だとしたら、未遂とはいえ、手ひどい感想を返したものだ。己の仕出かした仕打ちに居心地が悪くなり、片手に鍋・口にスプーンを銜えたまま、空いた手でジーンズのポケットを探る。取り出した携帯電話のはしっこは、メールの着信を告げる色に点滅していた。

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「よくやりました……わたし」

 ずらっと隊列を揃え、上はミニキッチンに備え付けの食器棚、下はミニキッチン真横の洗濯機の蓋まで占領したタッパ軍十二機体の駐屯風景は、毎度ながらなかなかに壮観である。火を入れた食材に缶詰を混ぜたズボラ和えから圧力鍋まで持ち出して丹精込めた牛すじ煮込みまで、各々の錬度に差はあれど、すべて懇切丁寧に味と具を調整できた自信がある。腰に手を当てて痛みをほぐしながら―――まったく、踏み台を使えばいくらでも身長など足せるのだから、男女平等を謳うJPNなら水周りの高さは最初から男性用設計で然るべきだろうに!―――、麻祈は鷹揚に頷いた。鈍痛は許せる。疲労すら愛せる。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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