忍者ブログ

きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。


(……あの人にとっては、俺のこれが、あのテンコ盛りのパンだったのかな?)

 だとしたら、未遂とはいえ、手ひどい感想を返したものだ。己の仕出かした仕打ちに居心地が悪くなり、片手に鍋・口にスプーンを銜えたまま、空いた手でジーンズのポケットを探る。取り出した携帯電話のはしっこは、メールの着信を告げる色に点滅していた。

.
ずらっと前ならえした新規着信を、順に消化していく。どうやら彼女は、友人と昼前に出かけたらしく、メールのほとんどはその散発的な実況中継だった。駅前で落ち合うことになった、無事に落ち合った、高ランと落ち合った、高ランは女だ高藤(たかとう)が苗字だと、やはり一枚一枚のメールはペライが、友人と外遊びに出れたものだから浮き足立っているのだろう。ふと、やはりドアの隙間から、部屋越しに窓の外を見る。言い回しとして適切な時期から外れかけているが、いわゆる小春日和だった。

 と。携帯電話が、またしても新着メールを知らせてくる。

「うん?」

 それを見て、麻祈は目を見開いた。実況中継ではない―――題字からして、こちらの様子を窺うものになっていた。きちんと中にまで読んでみると、やはり依頼を主とした内容である。どうやら友人が急用で席を外してしまうので、時間に余裕があるなら買い物に助言者として付き合ってくれないかというものらしい。

(あー。そっか。今のうちに、世話になった大学教授にプレゼントでも贈るのか)

 確かに、内容や時期の重複を少しでもなくそうと、卒業式でないシーズンに贈り物をした同級生がいた。彼女も、そのクチなのだろう。妙に幼くたどたどしい文体なので読むのに時間はかかったが、読んでしまえば納得できた。

拍手[0回]

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カテゴリー

プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

忍者カウンター