(いくら好きでも厭きないか?)
右隣の陣内と、彼の向こうに続くふたりの男を見やる。が、どいつもこいつも、悪くない、といった顔つきだった。期待が濃くなり真剣味が増した横顔が、表面的な笑顔にアルコールを注したせいで、勝てる勝負に挑む博打屋を思わせる半笑いになっている。下品だろうか? 好戦的だとは思えた。
麻祈はと言えば、良いも悪いもない。厭きる・厭きないといったレベルにすら達していない。好きも嫌いも介在しない。なあ、加入儀礼(イニシエーション)をどう思う? ヘボが。思うもなにも、割り当てならこなすもんだろう―――
自己紹介。相槌。相槌のような感想、あるいは感想のような相槌。求められた時に求められた最低限だけ輪に加わりながら、麻祈は淡々とビールグラスを干した。
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