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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「エネルギー問題も解決に近づくのになー」

「原子力発電は、あんまし好きじゃないけどさー」

「あ。えんがちょ(Jinx!)!」

「こら。ちびっこみたいなことして茶々入れない。ちゃんと言う」

「へいへい。俺も原子力発電はあんまり好きじゃありませーん」

「人類を滅ぼすのは贅沢だと思うから、滅びて欲しくなかったら、背に腹は替えられないよねー」

「違いないねー」

「まああんたのことだから、そんなのより、あの大統一論がぎちっと固められちゃうことの方がワクワクすんだろねー」

 唐突だった。わけも無く、全身の体感温度が上がったのを自覚したのは。

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「知らない奴同士がくっついてはなれてどうなったって興味ないね。同じくっついてはなれてって話なら、面白さ的には磁石の方がプライオリティ高い」

「ああ。磁気単極子かぁ。面白いよねえ」

「……うん」

 ぎくりとして、返事が遅れた。本当に佐藤は博学だ。あらゆる知識に精通している。麻祈の繰り出す話題のどれをも網羅している。もしかしたら、麻祈自身のことまでも?

「黙りやがれ。詩人(Sir.Swanning, shut the fuck up!)」

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「ならば話題も戻そう。むう。顔が分からないから、ファンになる有名人も無く、出演番組を追っかける興味もないとな。まさか、あんたン家にテレビ無いのって、それが理由?」

「まあ、ほかにもあるけど。今じゃニュース配信は、新聞どころかウェブサイトでも完備されてきてるから。映像作品はパソコンで視聴できるし、どうしてもテレビを見たくなったら院内のラウンジがあるわなって思ったら、部屋に買い置く気にならんのよ。ほんと、日本って豊かだよなぁ」

「しみじみ言ってる場合かい。あんた、そんなだから、なおのこと広辞苑って屋号になっちゃうんだよ。広辞苑に芸能欄なんてないかって」

「話のフリ、我が道行き過ぎ(That was a non sequitur.)……マジ勘弁だし(What a bummer.)。なあ、俺のかーちゃん気取りか? お前(I say, Don't you think I'm your a pet son or something?)。大丈夫だよマーマ、大丈夫う、ボクお怪我してないもの(Mum, no worries! P-L-E-A-S-E! I haven't a boo boo!)! ねー聞いてる(Are you with me!?)!?」

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「であらば、院外ネタに帰ろう。じゃあさ。そうやって日本語の概念として再構築済みなネオワードって、イケメン以外にあんの?」

「そりゃある」

「その代表格は?」

「美女」

「どんな風に覚えてんの?」

「肉体のコンディションを整える等の健康志向と無関係あるいは別格に、最先端のモードに則した最大量のデコレートを頭の天辺から爪先まで施した、うら若き女性のことだ」

「成る程。……まあ、海外の大味の顔立ちに慣れちゃったら、この辺の薄味相手にゃ味音痴でも仕方ないね。ったく。そのグルメ舌と能力の優劣とっかえりゃいいのに。このアサキング」

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「佐藤先生ぇー」

「これは橋元先生。こんにちは。ご無沙汰してます」

「こんちゃー。なんのなんの、こっちこそご無沙汰さん。元気そうでなにより。
 ところで、段先生のことなんだけどさぁー。佐藤先生に、彼のカノジョ面からの協力を、ちょっちお願いしたいんだけど」

「? 出来ることなら、喜んで。それで、一体どんな?」

「会話に横文字多いんだよねぇー」

「……あー」

「しかも音も使い方も、教科書なんぞなんぼのもんじゃいってな普段使いでしょ。
 その上、スラングや略語の使い方もごっちゃごちゃ。なおのこと通じないし」

「ですね」

「なんであそこまで英語抜けないの? もう10年くらい日本にいる筈でしょ? 彼」

「……多分、帰郷習慣のせいではないかと」

「へ? 帰郷?」

「ええ。オンライン帰郷。あいつ、いわゆるマウスポテトなんで。休みの日は海外の友人とメールやチャットで丸一日やりとり、なんてのもざら。
 英語の話し方が、地域も新旧も色々ごった煮なのもそのせいでしょう。ウェブ向こうの友人の癖に引きずられるんですよ。元から、各国ぐるぐる回って育ってる手前、適応能力ハンパないんだし。
 それに、『日本語のなまめかしいところは好きだけど、ちんたら回りくどいのは邪魔臭い』とか言って、読み込む愛読書は日本語だけど、ちゃっちゃと読み進めたい数学誌や読み捨て本は洋モノだし。洋画も字幕消してしけこんでるし。
 実際、休日に連絡したりすると、格段に英語が増えてますから。感情表現なんかもケバケバしく、あっち寄りになって。あたしも勉強になることが多くて、それを咎めないもんだから、なおのこと。
 気付いても良かったのに、今の今まで……申し訳ありませんでした」

「いえいえ……
 てか、段先生って、帰国子女でバイリンガルのくせして英語キライって話じゃなかったっけ? どっか海外の学会行った時に、ずっとダンマリ決め込んでたとか」

「そんな逸話が有名なようですね」

「……なに? 一人歩きしてるってわけ? 噂話が」

「とは言え、お口にチャックして南京錠をかけるがごときアンタッチャブルを剥き出しにするケースが絶無ではありませんし。そもそも、一人歩きを野放しにしているのは、あんにゃろの面倒臭がり根性。自業自得ですよ。
 ―――だからこそ、自分で拭ける奴の尻は薄汚れさせておいていいにしても、患者家族へのそれは見過ごせませんね」

「うん。ただでさえ病気かもって不安なとこに、医者の口から横文字出てくるとね。他意が無くても、他意を勘ぐらせちゃうから。
 お付き合いしてく中で補正してあげてくんない? 日本っぽく。発音でも使いどころでも、じゃんじゃん手当たり次第に」

「はい。留意のもと監督します」

「あと、方言も教えたげて。こっちは、体調不良や日時に関するものから優先して」

「承知しました」

「標準語には馴染めないってお年寄りも多いから、いつか話せるよーにならんもんかなぁ。方言。
 うーん。ペラペラなのが英語じゃなくて方言だったらバッチグーだったのに」

「ちなみに、わたしからもということは、橋元先生も既にご指摘なさったと言うことでしょう?
 それでも、助力を乞うなんて……まさか、反抗でもされたんですか?」

「いんや。疑問視された」

「と、言いますと?」

「咄嗟の英語なんてソーリーソーリーひげソーリーくらいで勘弁してって言ったら、なぜ整容行為を謝罪するのですか? って」

「あー広辞苑。あの広辞苑」

「でしょ。駄洒落も、彼の目録に入れたげて」

「努力します」

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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