「知らない奴同士がくっついてはなれてどうなったって興味ないね。同じくっついてはなれてって話なら、面白さ的には磁石の方がプライオリティ高い」
「ああ。磁気単極子かぁ。面白いよねえ」
「……うん」
ぎくりとして、返事が遅れた。本当に佐藤は博学だ。あらゆる知識に精通している。麻祈の繰り出す話題のどれをも網羅している。もしかしたら、麻祈自身のことまでも?
「黙りやがれ。詩人(Sir.Swanning, shut the fuck up!)」
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錯乱を蹴散らすべく、囁きと引き換えに、もう何杯目かも覚えていない酒杯からウイスキーの水割りを啜る……そう、確かに、そろそろ詩人が脳漿へと迷い出てくるほどに酩酊していてもおかしくない頃合だった。時間的にもそうだし、自分はほとんど料理を食べずに飲んでいるのだから。
納得して麻祈は、さっきまでの丁々発止をなし崩しにする、のんべんだらりんとした間延び声で駄弁った。
「モノポールさえあればなー」
「あるはずなんだけどねぇー。ビック・バンがあったんなら」
佐藤がのんびりと、話についてくる。
麻祈は続けた。
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