「へー。ちなみにだけど。映画俳優なら、好きな女性のタイプは?」
「オゥダゥリゥィ・ヘッパワァゥムン」
「うあ。この二秒半で日本っぽくやや英語的な発音した。やるな帰国子女」
「言っとくけど、彼女の見てくれがどうこうじゃないぞ。確かに演技に妙味のある目鼻立ちが整った女だが、それ以上に、いい女だから好きなんだ。私物を詰めた荷物は生涯自分で持ったらしいし、各国を流転した境遇にも俺として感じ入るとこがある」
「だろね。あんたもユーラシア大陸を周回しながら育ったクチだもんね」
「……俺は産まれはアメリカだし、トータルして居座った期間が最長なのは中近東だけどな。ってェか、だったら、お前の男のタイプは? どーせ日本人なんか、ピンからキリまで一緒くた(much of a muchness)。もーいっそアイドル限定じゃなくて直球で言いやがれ、好きな野郎の名前。そら・来い(C’mon, Shoot,)、さん・はい(Hey presto!)、ぶっちゃけて(Let's Be Blunt!)!」
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「ヤトソウシ」
「野党襲うし?」
「違う。丸ごと違う。ヤトが苗字で、ソウシが名前。十(とお)以上ある弓矢を、総じて司る。そう書いて、矢十総司。今にして思えば、名は体を表しまくりだねこりゃ。わらっていい?」
「どれだけでも」
「あんがとさん(Ta, awfully.)」
「とんでもねえ(You bet.)。にしても、やっぱり知らん。やとそうし? さっぱりだ。アイドルか?」
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