「むう。だったら、イケメンは?」
「分かる。むしろそれは近代の造語だから分かりやすい。自分のタイプの好青年を、大衆に持て囃させるための宣伝文句だ。だから、若くて清潔で人好きする外聞を保っている男は、誰しもが誰かにとってのイケメンだ」
「そーいったスタンスからの分かり方なのね」
「え? 間違ってないだろ? 俺だってイケメンって言われたことあるんだし」
「間違ってないよ。うん。そのスタンスからすると、それは誤答ではない」
「だろう。きらりんこだって理解してる。照明設備だ。ふふふ」
「そっちは勝ち誇れるほどまるっとお見通しな正答かなぁ」
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「無論だ。だって日本の収録スタジオって凄いらしいぞ。なにせ、真っ暗な部屋で百物語をする際に顎下から懐中電灯で照らし出すでもないくせして、顔面照らす専用のライトがあるらしい。日本限定の怪談だ。幽霊も裸足で逃げ出す美白欲だが、日本産の幽霊は足が無いから逃げだせないのだ。ザ・マジ怪談。くわばらクワバラ」
「怪談かはともかく、怖ろしやな話ではあるね。にしても。へー。分かんないの。日本人の顔」
「覚えることは出来る。お前を見れば佐藤葦呼だと視認を成せる。ただし、お前の顔が、かわいーのかカッコいーのかは分からん。日本人の誰かがお前をそう評するなら、そう覚えるだけだ。こういうのをそう言うんだなって」
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