「あさきの かんさつにっき」だん・おうしろう
この前から、あさきが、うちに帰ってきています。あさきは、ぼくのおとうとです。
ぼくが帰ったら、テレビでビデオを見ていました。『シティーハンター』っていう、マンガのアニメです。
ぼくは、あさきのうしろでせなかをむけて、ランドセルを広げていたので、聞こえてきた音で「ああ、さいしょのはじまりの歌が終わったなぁ」と思いました。
そしたらそのあと、すぐ、あさきがケタケタ笑い出しました。
なにがそんなにおかしいんだろと思って理由を聞いたら、あさきは、東京の駅の黒板(伝言板?)に『XYZ』って書かれてあるところまでビデオを巻き戻して、「こっちでも、おんなじ! ラクガキ!」って言うのです。
ぼくが「あれはラクガキじゃないよ。あれは『もう、あとがない。死ぬかも。助けて』って、必死なサインだよ」って教えてあげても、「ないのかよ! あと! 必死! デッドエンド!? リアリー!? ザッツスィリアスリー!」と余計に笑うだけで、お話になりません。デッドは死ぬ・エンドは終わるって意味だってぼくは知っていたので、あさきがそんな言葉で笑いまくるのでびっくりしました。
今度じいちゃんに頼んで、あさきにちゃんとシティーハンターのおおもとのマンガを買って読ませてあげないとなぁと思いました。
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. ええと。またしてもがきんちょ桜獅郎は勘違いしてっけど。ちびすけの俺だって、ちびすけなりに合ってるからな。
「XYZ」は、英語的には「Examine Your Zipper.」の遠回し表現なんだよ。んで、これの和訳っつーと、「お前、ジッパー調べろ」……とどのつまり
「社会の窓あいてます(股間のチャック開いてっぞ)」。
依頼人は命がけでシティーハンターに「社会の窓あいてます」。そりゃもう必死に「社会の窓あいてます」。あとがない死ぬかもタスケテな「社会の窓あいてます」。
どんだけ。(←死語:投稿日時現在)
タスケテっておま、チャック上げてほしいの? どんな状況? しかも、アトないの? ボタン外れズボン落ちパンツ下がるってあとはないの? なにそれノーパン!? そりゃ確かに Dead end だわ! ゆゆしき事態だわ! と―――
そう君。そこの君も、そう思う。思ったら笑う。だろ? それと、「Dead end」は桜獅郎の言う「死ぬ・終わる」じゃなくて、「どん詰まり・行き止まり・先が無い」って意味だ。道路標識で、袋小路になってるのを示す看板に、この「Dead end」が書いてある国もある。「この先は行き止まりです」表示ってことだな。
会話的に使うなら、「Gah! I seriously reached a dead end!」≒「ガあー! マジでにっちもさっちもならなくなった!」って感じか。
ちなみに「Gah!」は、まあ、そのまんま「ガあー!」で和訳オッケーかなと思う。イライラして、ああああああああって両手をわきわきさせてるよーな時に漏れ出てくる声って感じだ。もちろんそれだけじゃなくて、興奮して「ガあー!」と叫んでる時や、めちゃくちゃヘコんでうめいてる「がぁー(ん)……」って時もあるから、前後の文脈で察してくれ。
……それと、イイ機会だから、桜獅郎のみならず日本人がずーーーーーーっと勘違いしてるらしい、日本語の「サインする」について。
あのな。「sign」はそもそもそれ自体で「署名する」って意味の動詞だから。「『署名する』する」って意味になっちまってるから「サインする」ってのは! おかしいから!
「(同意や承諾などの)署名をくれ」って意味なら「signature」! 「(有名人から、色紙などに)肉筆をくれ」って意味なら「autograph」! 「(誰かさんに)合図をする」って意味なら「signal」だから!
……ええと。なんの話だったか。とにかく、英語を使うようなスターに『直筆をねだる』んなら、「Could I've your autograph on ~?(~にサインしてもらえないでしょうか?)」って言い回しが無難ってこったな。そんじゃ、またぐらのチャックからサインまで広がっちまったが、今回はそーいうことで。
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