「マジで? てことは、なになになに? 紫乃もイイカンジの人いたの?」
「うーん。―――気に、なってる。そんな人なら」
「きゃああぁぁあ!」
黄色い悲鳴に聴神経をぶち抜かれ、紫乃は携帯電話から頭をのけ反らせた。手の方を離したって構わないはずなのに、なんでこんな時はいつも頭部なんだろうか? 衝撃波にふらつく脳裏でいらないことを考えているうちも、華蘭の嬌声は止まらない。雪だるま式どころか、雪山の雪崩を思わせる怒涛の加速で増していく。
「ついについに!? あのまぐれ処女(バージン)純情派な紫乃がついに!? いやっはー! たかが合コンで二組もイイのが成立なんて、奇っ跡っ的イ!!」
「二組?」
「そ! もー、由紀那が大絶賛してんのよう。せんせーって人をさぁ」
息が、止まった。
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