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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「返事無いけど、聞いてるつもりで話すよ。ぶっちゃけ、なんのこっちゃ良く分からんのだけどー。言うだけ言われて切られたし。とにかく今、華蘭がぶっぱなしてきたマシンガンは、うちらの純真無垢かつ清楚なプリンセスに魔の手を掛けんとする淫魔のクソ―――長いので以下割愛―――ドクターを合コンに手引きしたのは貴様かーって、弾丸だったんだけど。あのさぁ。アサキング、クソなんちゃらドクターだったの? 紫乃にとって」

「ふざけないで!」

 とにかく、紫乃は叫んだ。

 だけで終わらず、叫び続けていた。

「そんなこと言う葦呼なんて最低! 大っ嫌い! 麻祈さんの友達でも、嫌いになってやるんだからア!!」

 そして、携帯電話をベッドのマットにねじ伏せる。

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(どうしよう……あんな言い方したら、華蘭は絶対に都合のいいように考えるよ……口車に乗せられてるとか洗脳されてるとか騒ぎ立てられて、どんどん派手な噂になっちゃう。華蘭は悪気が無いから、今回だってそれを繰り返すよ。どうしよう……どうしよう……)

 ベッドの上で身じろぎする。いっそ臭い物には蓋とばかり布団に包まって寝てしまいたいが、このままでは蓋を溢れて引火し大爆発すると予想がついている以上、なんらかの手を打って回避を講じなければならない。いつもこういった時は、巻き添えを食わないように華蘭を傍観する立場を決め込むばかりだった。咎めるとしても、苦笑するから察してくれと願うだけだった。それがどれだけ我が身可愛さからきた偽善だったかが、当事者となって、こんなにもよく分かる……

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「いい? 医療事務してたから分かるけど医者って見境ない奴ホントひっでぇんだから! 分かってないでしょ!? 聞きなさいよ。いい?」

 わんわん……わんわんと、耳鳴りのように紫乃を埋めていく声の中で、彼女は支えとなるものを探した。麻祈のそれを探した。簡単だ。彼の声を思い出すなんて、そんなの、すぐだ。忘れたことなんて無いのだから、思い出すと言うことすら間違っているのだ。本来は。

 それを聞く。

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「なんで知ってんの? しかも名前。苗字じゃなくて」

「苗字は……忘れちゃったから」

「は?」

 それから、きっかり、七秒。

 それが、始まる。

「―――ちょっとちょっとちょっとちょっと! 紫乃がイイカンジの人ってそいつなの!? そうよね名前で呼んでて苗字忘れるとかそーいったアレだよね!! そっちはもうそんな仲なの!? センセーとばしてアサキサンな仲なの!? ええ!?」

 あらん限りの鬼気を焚いた声に、危局を招き入れてしまったことを紫乃が悟った頃には、もう遅かった。華蘭は爆音のような声量で、己の中で構築された設定と脚本と価値判断に準じた怒罵をぶちまけていく。

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「マジで? てことは、なになになに? 紫乃もイイカンジの人いたの?」

「うーん。―――気に、なってる。そんな人なら」

「きゃああぁぁあ!」

 黄色い悲鳴に聴神経をぶち抜かれ、紫乃は携帯電話から頭をのけ反らせた。手の方を離したって構わないはずなのに、なんでこんな時はいつも頭部なんだろうか? 衝撃波にふらつく脳裏でいらないことを考えているうちも、華蘭の嬌声は止まらない。雪だるま式どころか、雪山の雪崩を思わせる怒涛の加速で増していく。

「ついについに!? あのまぐれ処女(バージン)純情派な紫乃がついに!? いやっはー! たかが合コンで二組もイイのが成立なんて、奇っ跡っ的イ!!」

「二組?」

「そ! もー、由紀那が大絶賛してんのよう。せんせーって人をさぁ」

 息が、止まった。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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