「そんなもんお互い様だろ。バラエティの名物コーナーは、外しちゃならない予定調和だ。邪魔くせえな。言わせるなよ、こんな納得ずくのこと。もう切るぞ」
「待って待って。あとひとつ」
「あァ?」
「女衆のうち、三人はあたしの友達の友達だけど、ひとりはあたしの友達なんだ。サカタシノってんだけど」
「酒田市の?」
「発音違う。苗字のサカタは、勾配の坂に、田んぼ。名前のシノは、パープルの紫に……ええと。ノは。アレだ。あんた常連の店、乃介蔵(ののくら)の、最初の乃。その紫乃にも、かなり頼み込んで参加してもらったんだ。無理矢理言われてやって来たハグレモン同士、同病相哀れむと時間が潰れやすいと思う」
「ふぅん」
そう応じて。
麻祈がその時イメージしていたのは坂田紫乃という佐藤の女友達でなく、三股の尻尾を反り返らせて乳ドラムを繰り返す垢じみた巨躯ゴリラだった……古びたカサブタ色をした。
言ってみる。
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