忍者ブログ

きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。


 ちょうど酒も飲み干した。本を閉じ、身体を起こす。そのまま麻祈は、ベッドの上であぐらをかいた。サイドボードにある財布のわきにコーヒーカップと携帯電話を置くついで、自分の手首にある時の羅針盤を、再度見やる―――そろそろ身支度を整え始めてもいい頃合いだった。のだが、せめて口に含んだ氷のかけらがなくなるくらいまでは、それをしたくない気分だった。氷片を無くした口蓋に、なお一層の生ぬるさを感じることになると分かっていたとしても。

 案の定、氷はすぐに溶けて消えた。

「……めんどくさ……」

.  顔を撫でて、ひとりごちる。昼にいったん剃刀を当てたせいで、指に髭の感触はしなかった―――少なくとも、剃りなおそうと心に決めるほどには。だとしたらまだ、肺臓から漏れ出た口癖について考察したりしていても許されるのではないか? 面倒臭いのは生ぬるいからか? 生ぬるいより生臭いからか?

(あーめんどくさ)

 それを終止符に、麻祈は床に立った。そろそろ現実を始めなければならない。

拍手[0回]

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カテゴリー

プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

カレンダー

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

忍者カウンター