「女メンバーは、あんたと、華蘭の知り合い三人で、計四人。男メンバーは、あたしの同僚兼趣味友ひとりと、同僚とも趣味友とも違う知り合いひとりと、その知り合いの友達ふたりで、計四人。総勢八人。言ってなかったっけ?」
「初耳だよ。あーでも良かったぁ。ふたりも葦呼の話題ができる人いてくれるんだ。なんて人?」
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「ジンナイさんとアサキング」
「あさきん?」
「あ。ゴメンそれニックネーム。アサキっての。本名。そいつ」
「陣内さんと、浅木さんね」
仕事柄もあり、特徴や名前を覚えておくのは得意な方だ。ふたつの苗字を舌の根に転がしながら、紫乃は疑問符を帯びて転調した葦呼のせりふを聞いていた。
「でもあいつら、あたしの話なんてしないと思うけどなー? どっちも違う意味で」
「違う意味で?」
「どっちも性格ずぇんずぇん違うもん。言うなれば、空き箱と広辞苑」
「むしろ共通点が分かんない」
「空き箱と広辞苑なら紙製で直方体なとこで、ジンナイさんとアサキングなら日本の男性ってとこ。共通点」
いつもそうだが、葦呼は独特な観点から的を射てくるので、それが正鵠であるのか的外れなのかジャッジしようがない。そんな時の対処法その一として、紫乃は彼女の解説を待った。
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