. 手と顔を洗って、普段着に着替える。部屋着と使用済みタオルを持って洗濯機の蓋を開けると、かなりの洗濯物がたまっていた。洗濯できなかった日数を指折りしてみて、今更その量を実感する。
(今日は自炊日だし。さっさとやっちまお)
液体洗剤をドラムの中にあけて、スイッチを入れた。標準設定から念入り設定へと変更し、スタートボタンを押す。あとは全自動だ。
麻祈は、部屋に戻った。冷蔵庫から食パンの最後の一枚を取り出すついでに、その他の内容物をざっと視線で掃く。
合コン前に買出しは済ませている。なにを作る予定だったのかは、冷蔵庫に貼ったメモで復習した。では、どういった順序で段階を踏んでいくのが最も効率的か、過去の立案が誤答でないか、もう一度おさらいしてみる。食パンを食べ切る前に済んだ。慣れたことだ。
触れた口周りに無精髭と異なる違和感を感じて指先を見れば、パン屑がついていた。ちゅっとそこへ唇を落としてから、冷凍食品のエビフライ―――そう、パン粉で思い出した―――の期限が迫っていたことを思い出す。頭の中のメニューのひとつである親子丼をエビフライ丼へと変更し、あまった鶏ササミはホールトマト煮込みへ転身させた……野菜はともかくベーコンもオリーブオイルも切らしているが、つまみ用のチーズを二回に分けて違う種類投入すれば、それらを使うのとはまた一風変わったコクが出てくれるだろう。一品増えたところで、タッパの数も足りるはずだ。冷凍庫の容積としてはぎりぎりかもしれないが。
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