「ちょうど今日のお勧めは、そんな段さんに、ぴったりの一品かと。なにせ、あなたのお気に入り(pet)ですからね。おめでとう(congrats!)、君は金星を当てたんだ(You hit the jackpot!)!」
「……そんなまさか(Oh my god,)、」
慰めにしては、贅沢過ぎた。
素で返答してしまう。
「に、二の句が継げないよ(I,I’m speechless,)、思いも寄らなくてさ(Unthinkable)……」
つられて、あけすけに喜び出す顔かたちも、羽を伸ばすようにジェスチャーし出す身体も、止めようとすら思えなかった。思わず前へ前へと踏み込んでいく足元で鳴るのは、慣れ親しんだ古巣の通奏音なのだから。これこそが相応しいのだから。
「そいつは本当に本当かい(Am I hearing you right?)?」
「“もちろん(Right!)”」
篠葉は、冗談めかした茶目っ気を上乗せして、顔の横に掲げたピースサインの指を曲げた。強調符のお墨付き(quote-unquote)だ。ああもう本当に、居ても立っても居られなくなることを!
「イよっしゃぁ(Woohoo!)! 本当にありがとう(Thanks awfully!)、最高にしてくれて(You made my day !)!」
喝采を終えたところで、喉元をくすぐってくる疼きは治まらない。うずうずとした喜びを、せめて決まり文句で寿いで紛らわせる。
「バンザイ(Hip hip hooray!)・ばんざい(Hip hip hooray!)・万々歳(Hip hip hooray!)!」
逸るつま先を宥めながら、麻祈はいつもの席に向かった。
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