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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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ピーリングは、ナイフ格闘の技の一つだ。
 まず、なにもない平野で、knife(ナイフ)を1本ずつ構えた者2人が対峙した場面を想定してくれ。

 相手を殺傷するには、ナイフが届く範囲に行かないといけない(仕掛けナイフでもない限りは)。つまり短剣による攻撃は、相手に向けて腕を突き出すってスタイルがほとんど。

 あえてこの腕を狙う攻撃が、ピーリングだ。

 peel(皮を剥く)の意の通り、突き出された腕の表面を刃でなぞるようにナイフを滑らせて、表皮を削(そ)ぐ。百聞は一見にしかずだから、図解すると、こんな感じ↓
 致命傷ではなく、痛みによるダメージと出血による体力低下を狙った技だな。真綿で首を絞める系の。

 これを避けるには、突き出した腕を素早く引っ込めるしかない。ナイフは刃渡りが短いので、腎臓など重要な臓器を致命傷から守るために、中腰になって膝を曲げ、顔を相手に向けることになる―――相撲で、はっけよーい・のこった、の直後の姿勢だな。

 その格好で見合いながら、相手の懐に飛び込めるまで、グルグルぐるぐる回り合いながら、ナイフを突き出して・引っ込めてを繰り返す。

 言っちゃなんだけど、地味だ。

 映画でメインシーンを銃やミサイルに譲るしかねーのも納得だと思わないか?

 んじゃま、今回はこんなところで。

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彼女は、より一層の渋味を、面の皮に注した。そして、

「あんたねー」

 と、そこで残りの言葉を、吐息に切り替える。

 予想外の展開にきょとんとしていると、佐藤が己のコップを持ち上げた。表情は晴れ切っていなかったが、動作は思い切ったような敏捷さだった。

.

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「すまん。人間へのそれこそ机上の空論なのに、エレガントやエレファントなんか持ち出した俺がナンセンスだった」

「しゃあないじゃん。あんた数学オタクだし」

 ぽつりと返事が来たので、麻祈は抗弁した。

「お前だって数学オタクじゃないかよー」

「あんたの方がオーソリティ寄りっしょ」

「重鎮(Authority)? どこがだ。俺だってお前と同じただの趣味人で、数学会への権力なんて、これっぽっちも無いぞ」

「じゃなくて、より和製英語な意味で、オーソリティ。真髄寄り。要はあんたの方が、あたしより高濃度の数学オタクってこと。あたしだったら引用するのは、“エレガファント”じゃなくて、事実は小説より奇なりってのが先に来るもん」

「だったら、そっちで済ませるお前はなにオタクよ?」

.

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. 佐藤は自分にも責任があるようなことを言っていたが、とんでもない話だ。どのようにこじつけたところで、彼女の罪状は麻祈と坂田を合同コンパの人身御供にした程度に過ぎない。そこから生じさせていた僅かな誤差を、スキューズ数を上回る差異まで拗(こじ)れさせたのは、自分の優柔すぎた応対と、それに頼らざるを得なかった坂田の不遇と、それらを愛憎劇仕立てに解釈した小杉の了見の狭さ及び偏向―――まあこれもテリブルな境遇かという気はするがそれはそれとして―――だ。佐藤自身が、それを分かっていないはずもない。なのに、累がある自分にも不始末の労役を課せと譲らない。こうやって麻祈から鬱憤晴らしに怒号を浴びせられても怒号で返し、尚且つ、それでも見放さない。恐らく、さっき衝動に駆られるまま実際にこの舌鋒で狼藉を働いたとて、彼女はこの件そのものから手を引くことはなかったろう。それは何故か?

(この世話焼き)

 まさか、麻祈のそれが空耳として聞こえたはずもないだろうが。苛々に鬱屈しきった仏頂面で、佐藤が吐き捨ててくる。

「……当事者の義理として、なんか言ったら? あんた」

「エレガント」

 楯突いて、ついでに自虐して、おまけに卑屈も忘れないでおこう。やけくそで、麻祈は陰気に片頬だけで笑んだ。

.

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 ギリシャ神話のナルキッソスは、湖面に映り込んだ自分自身に夢中になるあまり、死んでしまった少年だ。ナルシスという発音から、ナルシズム・ナルシストの淵源になってる。有名だよな。

 対するゴルディオンの結び目は、大昔のアレクサンドロス三世(アレキサンダー大王)の伝説だ。

 フリュギアという王国にある都市ゴルディオンにて、アレクサンドロス三世は、神殿に奉納されていたゴルディアス王の荷車に興味を持った。なぜならば、この荷車に作られた結び目が、「ほどいてみろ」って謎かけだったからだ。

 でもって、見てみると確かに、こんがらがった紐の玉。

 そこで王様は、紐の玉を、ざっくりと剣で一刀両断した。

 現代では、難問を意外なところからズバッと解決するって例え話で使われることが多いぞ。俺としては、似たようなことわざなら、コロンブスの卵の例えの方が好みだけどなー。物騒じゃなくて。

 意外なところから問答無用に強硬解決って意味じゃ、ゴルゴ13の方が別格かもしれんが……

 てなわけで、今回はこれにて。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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