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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「他の選択肢もあるでしょう。ここ、駅にも住宅街にも近いので、個人経営の居酒屋から大手チェーン店のファミリーレストランまで揃い踏みしてますよ。ピンキリに。キリはオススメしませんけど」

「しないですよ。普通」

「見どころとしては、後ろ向きにピンなんですけどねぇ。今日はどこまで堕ちてるんだろうと気に掛かかってポツポツ足を運んでるんですが、今のところ底が無くて。キリなのにキリがないのがまたもやもやして覗きたくなると言うか……」

「限りなく嫌な注目の的ですね。それ」

 半眼になってうめく麻祈に、似たような波長で言い添える。

 そのまま言及することなく、麻祈が矛先を変えた。

「バスで帰るんでしたら、駅前の方が都合がよろしいんじゃありませんか?」

「いいんですよ、そんなの。気にしないでください。わたし、帰ることよりも、今は食事の方が楽しみなんですから。頑張って歩けば、ここから自宅だって徒歩圏内だし」

「はあ。となると―――」

 と。

 気が付いて、紫乃は小首を傾げた。はずみで肩からずり落ちかけたカゴバッグを掛け直す。

「麻祈さん、なんだか急に楽しそうです」

「あれ。顔に出てましたか」

 まるでタイミング悪くヘマを見られたといった風に、ばつが悪そうに麻祈が応える。しかし観念する切っ掛けにもなったらしく、思い当たるふしを白状してきた。

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.着替えて玄関から出てきた麻祈は、穿き古したジーンズに、それよりは新しいシャツといった格好だった。やはり長袖で、頭のてっぺんからつま先まで完全夏仕様の紫乃は居心地悪く感じたが、本人は歯牙にもかけていないようだ。以前見かけたボディー・バッグは仕事用なのか、携帯電話と財布だけポケットに入れて手ぶらである。施錠し終えた鍵もまとめてそこに突っ込むと、結わえられたキーチェーンが波打った。

 アパートの階段を、三階から一階に降りる麻祈についていきながら、会話を交わす。

「ええと。どこにしましょうか。夕食。坂田さん、アレルギーとかあります?」

「ないですよ。麻祈さんは?」

「俺もありません」

「オススメの美味しいお店があるなら、教えてください」

「え?」

 ちらと振り返ってきた眼差しが、こちらの図々しい申し出を嫌忌するものではないと見て取ってから、紫乃はせりふを続けた。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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