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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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(どうしてそんなことを聞くの?)

 まるで、おかしいのはこちらではないかと思えてくる。どこが?

 電話に返信があったことか?

 電話へ返信したことか?

 それが、いつしか返信ではなくなっていたことか?

「普通だよ」

 紫乃は、訴えた。自分のことだけであれば、譲歩して済ませることも出来たろうが。

「どれも普通なんだよ」

 電話をするようになった。

 電話をすると楽しかった。

 電話をするのが楽しみになった。

 それらを裏切ってまで保身に回る価値など、この現実のどこにもない。だからこそ、声を振り絞るしかない。

「なにが悪いって言うの?」

「だよね」

 葦呼が、頷いてきた。

 はっと、彼女を見る。葦呼の双眸には、上滑りしている同意も、ひた隠しにしておこうとした否定も存在しない。ただ見極めるために、紫乃を正面から見返していた。

「だったら、今のこれだって、異常事態じゃない。普通じゃない人が異常事態だって騒ぎ立ててるだけ」

 言い聞かせるように、ひと言ひと言ゆっくりと呟く。今までの冗長な誘導尋問を食い千切って、噛んで含ませるように。そうしなければ通じないだろうと見越して、迷うことなくそれを選んだ葦呼が。

 そうだ。葦呼がいるのだ。しかも味方で。

 相槌を打つ元気が出た。

「うん」

「なら、あたしらで、あんたこそ普通じゃないって説き伏せなきゃ。これだって普通なことで、ちっとも異常じゃないでしょ? だからあたしは、巻き込まれたなんて思ってない―――って、」

 と、ちっちっと葦呼が振ってみせた一本指……そこから手首に巻かれた腕時計にとまった目が、丸く見開かれた。そして、指を立てていた拳をぱっと開いて紫乃の肘あたりを掴み取ると、それを引っ張りながら、もう片手で喫茶店のドアを押しのける。

「こんなの話してる場合じゃない。急いで紫乃。華蘭の遅刻癖がどんだけ発揮されるかによるけど、まだ何分かは猶予が―――」

「あー!!」

 つんのめりかけていたふたりの身体を、甲高い声が一閃した。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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