. どうしよう。今度こそ本当にわけが分からない。
ついさっき、桜獅郎が買い物に出かけた。限定品の靴墨(くつずみ)を買いに行くんだと。えらく嬉しそうなのは、正直、意外だった―――俺は、桜獅郎が革靴を履いている姿を見たことなんてなかったからだ。
そして、不吉なことを言い残していきやがった。
「今日のおやつは豪勢だ」と……
……食うのか。
食うのか!? 靴墨を!? いやしかしパンに塗るバターだって化粧品だったこともあるんだから、日本じゃ靴墨を食うことも一般的なのか!?
しかも桜獅郎のやつ、門から出て右に行けば靴屋なのに、反対側に行きやがった! 「おいおい、靴屋に行ったらいいんじゃね?」って呼びかけたんだが、あの野郎、またへらへらと半笑いして片付けやがった。生粋ジャップめ。
ああ畜生、せめて靴墨が、イカスミよりは上等な味であらんことを!
だぁから。シュークリームは英語では「 shoe cream 」で「靴墨」ですけれど、日本ではシュークリームは洋菓子であるがゆえに菓子屋に売っててフランス語で言う「 chou à la crème (シウ・ア・ラ・クレーム)」をぎゅっとオニギリのよーに縮めた産物
でええいちきしょー! 日本じゃカタカナはぜーんぶ舶来語ひとまとめでフランス語も英語も米語もあったもんじゃねー! がー! そりゃ桜獅郎だって、「I say, Why don't you go to the shoe store!?」って言われたら、また弟が妙なこと口走ってやがるって思うわな。靴屋に洋菓子を買いに行くとか、あほかと。まあ、桜獅郎のことだから、聞き取れなかったから笑って誤魔化したのかも知れんけど。ちび俺、桜獅郎の英語なみに、日本語ダメだったからなぁ……
ちなみに英語で言うシュークリームは「 cream puff 」だ。クリームの入った軽い焼き菓子。フランス語の
クリーム詰めキャベツ(シウ・ア・ラ・クレームの直訳)より大分ストレートなお名前をしておられます。どーでもいいけど。
ちゅーわけで、ちび俺の赤っ恥は、本日はこれにて!
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
【はみだしDNDDこらむ】
アサキングは、自分で「I say, Why don't you go to the shoe store!?」を「おいおい、靴屋に行ったらいいんじゃね?」と和訳しています。「え? アタマに『 why 』がついてたら『なぜ?』と問いかける文章になるはずなのに、なんでこんな訳になんの?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか? あ。いない。ならいいや。
これ、軽い命令形に多用される表現です。明らかに正しいことなのに、なぜ君はそれをしないのかな? って仄(ほの)めかすカンジ。ですので、アサキング的に和訳するとこれで合ってます。
洋画とか見てると、わりかし出てくると思いますよー。よかったら気に掛けてみてください。
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