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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「麻祈さんは、」

「は? なに名前で呼んでんの? こいつ」

「麻祈さんは、わたしなんかに、話を、訊いてくれました」

「はア?」

「そして、わたしなんかの話を、聞いてくれました」

 纏わり付いてくる小杉の嘲弄を振り払って、遮二無二に言う。

「だから、今度は、わたしも、ききたいんです。どうして―――」

 ―――どうして、“彼”が“麻祈”なのか。

 そうだった。それだけのことで始まって、こんなことにまで膨らんだ。貴重な時間は潰れてしまった……大事にされるべき感情は害されてしまった……だけでない。きっと、絶対それだけでは済まされない。分かっていた。

 だとしても、止められなかった。

 そして今だって、止めることができないでいる。

「ごめんなさい」

 紫乃は俯いて、自分の両膝を両手で握った。

 その様子を、小杉が見下ろしてきた。首を逸らし、虫でも見下ろす様にしつつ―――敢えて言うなら、蓼を食う虫を遠巻きに検分するような辛辣な好奇心を、眼光にないまぜにして。

「あんたさぁ、馬鹿なんじゃない? ってぇかぁ、夢見がち? 医大の偏差値いくつだと思ってんの? そんなののトップと話したい? 話が合うとか夢見ちゃってる?」

「夢―――見れたら良かったですよ。ほんと」

 笑ってしまう。

 それ自体はこれで二度目だが、今度はそんな言い逃れが通じそうもない心痛に、頬を引き攣らせて。

「顔だってスタイルだって学歴だってこんなのじゃなかったら、もっとちゃんと向き合えたかもって思っちゃいます。お医者さんに相談したいことが……なんて建前抜きに、他愛もない天気の話に付き合わせたって、気後れしなくて済んだのかなって。あなたみたく。でも、わたしには、そんなのないから……」

 紫乃は、丸めかかっていた背中を伸ばした。それくらいは出来ると思った―――無い物ねだりを止めて、出来ることをする。

「ないから、ならせめて、わたしは今より、わたしを諦めたりしません」

「ハア?」

「わたしは、人並みです。喋って、喋るのが聞こえて、聞こえたら返したいと思うから。それを諦めないし―――なによりも、」

 はっきりと、紫乃は告げた。

「どれも、わたしは頑張れる」

 小杉は―――

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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