「―――もしもし」
「あ。麻祈さん! すいません、さっきの電話、大丈夫でしたか?」
「ええ。問題ありません。こちらこそ、こんな時間に掛け直してもよろしかったでしょうか?」
「それはもう、全然いいんで。別に。……それで、その」
「はい」
「こんなことは本職の人に訊くのが一番かなって思って、電話しちゃったんですけど。その……すっごく、下らないことなんですけど」
「とんでもない。あなたさえ俺でよければ、いくらでもどうぞ。それで、どのようなことでしょうか?」
.
「たまごかけごはんって危ないんですよね?」
「………………」
麻祈の沈思黙考は長引いたが、紫乃の問いが卵の生食は人体にとって有害なのかという意味なのだと理解してからは、サルモネラ菌の説明と対処法と日本文化の独自性ならびにそれに基づいた生卵の安全度について、それはそれは順序立てた説明をご披露してくれた。
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