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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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. 胸倉から携帯電話を引き抜いて、麻祈にそれを話した。すると、訊いてくる。

「坂田さんの位置は?」

「上野さんの頭側。そこに座ってます」

「分かりました。それでは、対象者の肩を軽く叩きながら、大きく声をかけてください」

「はい。上野さん、上野さん! しっかりして! 上野さん!!」

 そうして、待つ。のだが。

.
「駄目です。ぐったりしてるだけ」

「よろしい。でしたら、次へ移ります。坂田さんは、仰向けの対象者の頭側に座っておいでるんですね?」

「はい。肩口の辺りに。美容師さんと、シャンプーするお客さんみたいな位置関係」

「そのまま対象者の胸と腹を、じっと見つめて下さい。これから十秒数えます。目を離さないで」

「はい」

「いち、に、さん、―――」

 カウントが終わった。

 彼の声が始まる。

「呼吸はどうでしょう。胸か腹に動きは?」

「はい。息、してます。動いてる……」

「その途中、しゃっくりするような引き攣りは?」

「いいえ」

「呼吸から異臭はしますか? 血液や、嘔吐したものの生臭さは?」

 背を折って、上野の顎先に鼻を寄せる。嗅覚に集中するが、

「しません」

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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