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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「どうも。さかた。お久しぶりです。さかた?」

「い、葦呼に繋がんないもんだからー!」

「ああ坂田さん。佐藤葦呼の。先日はどうも。お久しぶりで―――」

「たったたた助けてください! 会社の寮で上野さんが倒れてて、怪我とか血とかはないんですけどぐったりしてて全然もう、わたしどうしたらいいか分からなくて―――!!」

「ため息」

 意味不明だった。

.
一秒。二秒。三秒後も。意味不明のままだった。呆ける。

「え?」

「ため息をつくといいですよ。まず手始めに。ほら。さん・はい」

 従う。従うしかない。蝋人形なんて見たことはないが、いつか蝋人形を見る日が来たら、真っ先に上野のこの顔を思い出すだろうなんて思えてくる―――こんな非日常の中では、酔狂とも思えるそれこそが正しい気がしていたから。紫乃は、とにかく息を吐き切った。

「吐いた? なら吸って」

 もとより、呼吸なんてそんなものだが。

 そう思ってから、それを“思い出した”ことに気がつく。

 吸気なくして呼気は続かない。伸びて縮まなければ脈は打たない。そうだ。脈を数えることが出来る。数字を理解する余裕がある。

「はいゴックン」

 紫乃は、空気を唾液ごと嚥下した。

 垂涎しかかっていた唇の端の感触を、舌の先で舐め取る。生ものの味がした。それが分かる。

「呑んだ?」

 耳元に、問いかけ。

 それが分かる。麻祈だと分かる。

 だから、はっとした。意識だけでなく、息も攣った。

 拍子に上がってきたげっぷを噛み殺して、紫乃は携帯電話を握り締めた。答える。

「は、い」

「では確認に移ります」

「……は、はい」

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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