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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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. ダン・ハアユという女性について。

 漢字を用いるならば、氏は段、名は羽歩と記される。通称として、ほぼ日本で純粋培養された長兄・桜獅郎(おうしろう)は違和感なく「はゆぅ」を常用し、それと育ちを正反対とする次男・麻祈は違和感と折衷するため「ゆゆ」を用いていたのだが、当の彼女は祖父による「糞女郎(くそめろう)」をいたく気に入っていた。三きょうだいの紅一点であるが、この紅色は主にキーゼルバッハ部位からの鮮血……つまりぶん殴られたか自ら発奮してぶちキレさせたかの結果として生じた鼻血を暗喩する語句として用いることで、麻祈と長兄は同盟を結んで久しい。

.
類稀な女傑である―――世間一般的な見地から鑑みるならば。祖父からすれば完膚なきまで天罰を食らわせたのち改心に導くべき外道鬼畜であり、長兄はなんとも言わないし態度にも表さないので不明だが、麻祈に言わせるなら道路標識である……目撃したり出くわしたりするタイミングと内容によって、己にとっての危険度が上下する。そういう存在だ。

 とはいえ、いつだって彼女の方が優位なのは分かっていた。そもそも、追いかけっこに邪魔だからと一切の迷いなくワンピースを脱ぎ捨てたパンツ一丁で頭上に鷲手をわきわきさせつつ全身全霊をかけた特攻を仕掛けてくる五歳児の背にフェニックスの翼が見えた時から、麻祈が捕食される運命にあることは目に見えていた。後世にて長兄にそれを伝えたところ、彼も同様の体験をしたと仄めかす。ただし彼が見たフェニックスは彼女の脊梁でなく、祖父にどれだけ鋼の定規でぶたれても信念を曲げない黒瞳の潤みにこそ住んでいたと言う―――おそらく、まなじりまで飛び散った血が舞い散る羽根に見えたんだろう。俺はその時ただの小学生で、障子穴越しに四つんばいになって腰を抜かし、リコーダーと給食の食パン半枚しか入っていないランドセルの重みにさえ耐えかねていたから、目ン玉にそんなものを飼うような化け物をジイちゃんが懲らしめてるんだって倒錯するしかなかったんだ。はゆぅをメリケンだかバテレンだかから保護することになったって聞かされていたのにな、と。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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