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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「わたし、お医者さんの知り合いがいて。あなたのことを、相談したんです。―――その人は、あなたは病気だろう、病気に合った治療を受ければ治まるはずだって言いました」

「そんなの嘘!」

 上野が、金切り声を上げるついでに顔を上げたのは、思わずの行動だったことは目を見れば分かった。あの日と正反対の、紫乃にひたすらに委縮した眼光は、ゆらめく涙の深海で震撼していた。

「だって。今までだって通院しました。薬も貰ったし、先生に言われたように生活を工夫しました。でも良くならないんです。ちっとも。……」

「その人は、婦人科にかかるべきだと言っていましたよ」

「ふ、じ?」

「行ったことはありますか?」

.
藪から棒の話に、上野がうろたえながら口を開く。

「いいえ。そんな。だって、前の会社の健診でも貧血だって言われたから、内科に……」

「自分の症状を調べたことはありますか? インターネットでも、何ででも」

「……いえ、パソコン、持ってないし……ケータイをインターネットに繋ぐと、電話代がかさむから……」

「上野さんは、PMDDっていう病気かもしれない。その人は、そう言いました。女性に特有の病気だって。だから、婦人科にかかってくれると、わたしも安心です」

 上野を見つめながら、紫乃は頷いた。それでいい。今の自分は。

 上野が、ぽかんと声を上げた。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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