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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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.パンプス入りのビニール袋をショルダーバックもろとも尻プレスしたのも二の次に、ドアを閉める。それから、私物を横に退避させた。太腿の付け根が痛くなってから、ビニール袋の中でバク宙していたパンプスのヒールが刺さったことを知った。自重による打撲だ。なんていうか、自分の間抜けさもろとも体重を思い知らされた気がして、地味に痛みが増した気がする。

 前の運転席では、フロントガラスの水滴を払い終えたワイパーをとめて、麻祈もドアを閉めた。彼がシートベルトを締めるのを見て、紫乃も肩の上にあるはずのベルト金具を手探りする。それはあったのだが、腹の前まで引き出したところで、固定用バックルが見つからない。暗い車内で手探りを続ける。麻祈が発車させる素振りはない。待たせている。

「―――え、あ……あった! 見つけ……てない、これ、ちが……」

 掴んでしまったポケットティッシュ(そこらへんに転がっていたらしい)を手放して、またしても格闘に戻るしかない。

「あ! あった。今度こそあった。え? 入ったけど違う。抜ける。これお隣さんのやつ、―――」

 それゆえに、どこまでもさまにならない格闘を続ける。

 そして、紫乃は勝った!

 かちんと音を立てて留まったバックルを軽く叩いて、その腕でガッツポーズなんかしながら、意気揚々と言い放つ!

「これで、よし―――あの、麻祈さん! も、もうオーケイです! シートベルトしました!」

「ええ。見えてますよ、俺からも。バックミラーで」

「そ、うですよね。はい。ごめんなさい」

「いえ、別に」

「…………」

「………………」

「あの、走り出してもらって結構です」

「ええと。どこへ向かって走り出せば坂田さんの家なのか教えてください」

 紫乃が謝り倒したのは言うまでもない。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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