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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「ってか、どうしてこんなところに? こんな季節ですが、いくらなんでも風邪を引きますよ。傘は? ―――坂田さん?」

 先端で地面を突くことで己の傘を示すと、なんだかぼけっとしていた坂田も、さすがに気付いたようだ。やはり「ノーノー」の手付きをしながら、あわあわと言ってくる。

「あの。大丈夫です。傘ないですけど。家族に連絡したら、きっと誰か迎えに来てくれるから……」

「それは良かった。何分ほどかかるんです?」

「あ」

 どうやら、新たに発覚したことがあったようだ―――しかも、悪い方面で。分かりやすく動揺した目の動きをして、坂田が高らかに右手を挙手した。なんの意図か不明だが、高校野球の選手宣誓を思わせる勢いだった。

「やっぱり歩いて帰ります!」

「は?」

「もう雨ほとんど止んでるし、わたし歩くの好きですから! じゃあ!」

 と、やはり宣誓を済ませた甲子園球児がそうするような、ぎくしゃくした動きで、坂田が背を反す。その右手は、まだ高々と天空を射るように挙げられたままだ。

 目の前にあったその袖口を、麻祈は、むんずとつまんだ。

 そこにある手に、自分の傘の柄を押しつける。

「そうですか。ではどうぞ」

「え?」

「俺は走る方が好きですから」

 そして言葉通り、麻祈は坂田を追い抜いて駆け出した。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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