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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「分かった。空気読んだんだ。めっずらし。学会とやらに行った時も、後輩ちゃんに、そんくらい読んでやったら良かったんじゃありませんかぁ?」

「えー? 学会って? すごぉい」

 女性のひとりが、口許を手で覆いながら歓声を上げた。それに、訝しむことしか出来ない。すごい。凄い? 確かに今回の数学学会―――の、あえて言うなら複素関数とランダム行列について―――は格別だった。だったが、それを理解しているなら、なぜ『学会』そのものに『?』がつく?

 そうやって意識を場へ向けざるを得なかったことを、直後に麻祈は呪った。

.
「この先生さぁ。こんな名前してるけど、ホントは生まれも育ちも海外で、英語とかペラペラなのよ。なのに医者の学会で後輩とヨーロッパ行ったら、途端にちっとも―――」

「こんな名前?」

 声を上げてから―――

 まず痛感したのは、話を中座させるのに用いた手管の浅はかさと、そうしてしまった浅はかな己への嫌悪だった。だが同じ嫌悪感なら、陣内へのそれの始末の方が先決だ……どうせ自分自身とは死ぬまで付き合わなければならないのだから、そちらは死ぬまでのいつかに始末すればいい。

 手にしていたフォークを皿に添え、麻祈は空手を臍の前で組んだ。そうした指の塊は、死んで丸く絡まりあった蜘蛛の足を思わせる。腹の虫も、治まる際は、こんな間の抜けた死に体をさらすのか?

 嗤う。鼻で。

 椅子の背もたれに上体を伸ばしつつ、麻祈は陣内へと目玉を巡らせた。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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