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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「ああ失敬。とても意外だったもので。まさか陣内さんが、男のことに暗記力を割くとはね。―――覚えておいでだったんですか。俺の名前」

 対する陣内は、そうした麻祈の豹変ぶりにこそ、興が乗ったようだった。ヌカに釘だった相手が反応したのだから、どこまでヌカでないのか確かめたくなるのも当然だろう。実際、陣内は顔つきと声に釘程度に尖ったものを含ませながら、口の端を上げた。

「よく、覚えておいででしたとも。あ・さ・き・さん」

「あさきさん?」

 と。

.
突拍子なく上がった声へと、麻祈は顔を向けた。窓際の端の席にいる自分のちょうど対角、廊下に接した席の末端。そこに座った女性である。目が合う。すると彼女は、ぱっと手をお手上げに固めた。自分の手の甲に両肩を打たれて、その髪と首飾りが跳ねた。

 尋ねるしかない。

「それがなにか?」

「あ、はい! いえ、いいえぇ!」

「……ああ、そう(Could be.)……」

 要領を得ない返事に、口の中だけで―――だからこそずぼらに英語のまま―――応答しつつ、

(強盗か俺は)

 気が滅入る。

 ぶんぶか首と手を振る彼女のモーションは、まさしく、目出し帽と拳銃を備えた悪漢を前に「ノーノー」と言い出した、はぐれ日本人旅行者のそれだった。いつの間にか、女性を生理的に脅かすレベルの目つきとなっていたらしい。彼女から顔をそらし、麻祈は悪逆の双眸に瞑目を課した。

 どっちみち、そうするのこそ今は適切だ。陣内の話は続いている。目は口ほどに物を言う―――

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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