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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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.衣服の定位置から財布を取り出して、手探りで摘まみ出した幾らかの紙幣を、わきにいる佐藤に手渡す。

 恐らく佐藤は、鎖骨をノックしてくるかのような麻祈の裏拳に対して、反射的に両手でガードしただけだったのだろう。かざした自分の指にひっかけられた紙ぺらに向けて、不思議そうに唇を尖らせる。

「なにこれ」

「全員分の総勘定。釣りがあるならとっといてくれ」

「多いっしょ。いくらなんでも」

「延滞料金だろ」

 佐藤は、金を手に閉口した。

(慰謝料は無いのかって言えよ)

 そんな低俗な皮肉の切り返しで構わない。そのひと押しがあれば、坂田も麻祈こそが諸悪の元凶だと見なすカードが増える。

 そこを見越しての軽口だったのだが、こんな時に限って、佐藤は便乗してこない。真顔のまま、距離を保つ。計画には乗ったが、悪乗りまではしない。そんなところか。佐藤なら。

 坂田はどうだろうか? 正直もう責め苦と向き合うのは御免願いたいところだったが、それでも彼女へと、三度(みたび)の一瞥を触れさせる。その面貌に泣き笑いはない。そのうち、泣き出すか笑い出すかしてもおかしくない。どうとでもとれる、うす暗く弛緩した東洋人の顔。

 苦手だった。

「いい加減にしてくれよ」

 麻祈は呻いた。

「疲れる。そのツラ」

 呻き終わった。

 ならばあとは、出入り口のドアへと身体を翻すしかない。乱れた座席を整えるのは、佐藤でも行える。店長から事情を聞かれても、佐藤の方が巧妙に凌げる。これ以上自分がいたところで、自分以外の気に障るだけだ。

 そのノブをひねったところで、坂田の声に追いつかれた。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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