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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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.声も出ない。感情すら臭わない。吐息さえ擦り切れて、音にならない棒読みだけが垂れ流れていく。

(こんな孤島の大学をトップで卒業したところで学費も返ってきやしないし、勤め人としてだって給料や待遇が良くなるわけじゃない。帰国子女? だからなんだ。マイノリティにならざるをえなかった分、マイノリティな悩みが増えただけじゃないか。将来有望? そんなの俺だけじゃない。どこの世界だって、若手ってだけで将来は有望される。大人が子どもにあとは任せたって未来を丸投げすんのと同レベルの無責任な出任せに過ぎない。イケメン? そうなのかよ俺が知るかよ。ドクター? 今迄どんだけ医師免許が発行されてると思ってるんだ。合格人数に制限があるわけじゃなし。俺がその中のひとりだったからって、なんだって言うんだ―――)

「彼ったら優しいから、あんたみたいなのの愚痴にまで、いちいち付き合ってくれてたとは思うけど? そんなの、ただのお情けだから」

 小杉の高笑いに、坩堝のようだった自白が止まる。

 麻祈こそ、高笑いしかけたせいで。

 呑み込んだそれが、喉の根で煮立っていた。くつくつ、と。

(優しい? お情け? そうかもしれない。だとしても、“俺へのだ”)

 すべて、我が身可愛さから出た錆だ。小杉の妄想をほったらかし、坂田に余計な口を挟んだ挙句、佐藤の手まで煩わせておいて、“それでもそれをこうして陰からせせら笑える”! そうとも、これが現実だ!

 だからどうした? にたつくのも白けた。

 小汚い野球帽と手拭いの陰で、目蓋を閉じる。開ける。老衰した喫茶店が見えてくる。そこで絶望することにも厭きた男を見つけた時、小杉は彼を段麻祈だと認知するのか? 有名医大の主席で帰国子―――

「―――女、名家生まれの将来有望イケメンドクターでしかない。それ以外は無い。あんたにゃ絶対に無い。あいつの趣味が、夜の公園の砂場で、殺した昆虫の山にライターで火をつけることだなんて在り得ない」

「実際に在り得ねーからそんなデンジャラスゾーンの趣味!」

 それはもう反射的に、麻祈は叫ぶしかなかった。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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