「にしても、他にすることあんのかって？ 今ならあるでしょ。誤解を解け」
「誰が！？」
「どの口がこの期に及んで誰とか訊く？」
「俺が！？」
「あたしもですー！ あんたらに合コン持ちかけた身としては毒を食らわば皿までいっとかにゃー、皿にこびり付いた毒が後顧の憂いとなったら、にっちもさっちもどっちもこっちもとってもバッドでしょーこんごー！？」
「こちとら、しがない勤務医だぜ！？ ゼロからラブとプラトニック・ラブとスペクタクル・メロドラマを掛け合わせた合成獣（キメラ）を創造する辣腕の女神に立ち向かえるのは伝説の勇者だろ！？」
「勇者ってのは職業じゃなくて称号だから勤務医が勇者だったところでおかしくないし、正常状態を化生（かせい）させた癌（クレブス）だと女神を見なせば病巣叩くのこそ医者の役目っしょー！ プログレッションしちゃったもんはしゃーないんだから、転移（メタ）ってリンパ節郭清までせにゃならなくなる前に開腹(ひら)くなり腹腔鏡(ラパ)るなりして化学療法(ケモ)でも放射線療法(ラジ)でも捏(こ)ね繰ってパーフェクト・ザ・根治をやってのけたのを機に伝説の名医となりゃー！」
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「日本漫画界の間（はざま）を象徴する黒い男だったら惹かれるけど、こんな黒歴史の伝説に名を残すなんて、ずえぇぇぇったいに辞退させて戴きますってェのー！」
「黒歴史を閉じた新概念的歴史事象（エポック）叙事詩として伝説になりゃーっ！」
「あーそれなら名を刻みてーよ切り刻まれてーよ八枚切りでも微塵切りでもザックリ（chop）どころか殺られんの（get the chop）だってどんとこいよ！ そんなの分かってるよ分かってんだよ拒否ってさえいりゃ現実から自分へと折り合ってくれる勝ち戦システムなんておとーさんばっか勝つなんてズルいズルいってゴネてさえいりゃ圭一（けいいち）さんからオセロの白黒を偏り気味に采配してくれた甘ユルいガキんちょ時代が過ぎて以来終末を迎えたことくらい分かってんなら俺が今のこれをなんとかしないといけないのは忖度（そんたく）無く俺だって分かってっけど！ だけど！」
「だけど！ なに！？」
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