「にしても、あん時あれでよかったのかなー? 横恋慕されたことも人妻になったこともないから、上手くやれたか分かんないや。ちゃんとエロマダムっぽかった? あたし」
返答に困り、とりあえず呻く。
「ええと。エロマダムを見たことが無いから、わたしも良し悪し分からない」
「だよね。まあ正確じゃなくたっていっか。ちょっとだけそれっぽいパーツがチラ見さえ出来れば、あとはあっちでお好み補整して、お好みであるがゆえに、最高ランクまで価値上げてくれるから」
「そうなの?」
「らしいよ。その証拠に、パンツはいただけの女の子よりも、パンチラする女の子の方が価値高いんだって。男にとっては」
「誰から聞いたのそんな話」
「華蘭」
「あっそう……」
「どーやら当時の恋人が、デート中に、やぼったい中学生のパンチラにデレッとしたみたい。すんげー叫んでた。華蘭のあれすげーよね。真似ムリ。ぜってえ無理。あれ程のオンナ濃度いんぽっしぼーう」
あくまで調子を崩さない葦呼に、じゃっかん振り回されている気はしたものの、おかげで勢い任せのまま論点がずれていく不安はない……これは華蘭の「葦呼が話の中心だとイチイチ話が“盛り上がり終わる”からつまらない」という放言の裏返しでもある。つまり、ずっと楽しいとこ取りをして黄色い声を上げ続けたいばかりに話題のセンセーショナルな部分だけを掻い摘みたがる彼女と逆に、葦呼は話の起承転結が済むまで話の主軸を次へ移したがらないのだ。
(こうなるともう、てっこつっていうか鉄棒だよね)
ぐるぐる大車輪している風景を思い浮かべようとするが、どうにも自分の体育の成績とかけ離れ過ぎていて、うまくいかなかった。なので、別の連想を口にする。
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