. 目論見むなしく、剛速球かつ直球でホームランされた返事が、こうだ。
「体調だけで済んでるのは軽症な方だってばー。川北先生なんか点滴ブラさげながら診療して、帰る体力も洗濯してる暇も無いから、病院のベッドで寝てる間に看護師長がパンツ洗ってくれてたんだよ? あたしだってヒドい頃にゃあ、なんちゅーかこうネオな感じのウンゴロペレツモチルチルニャーニャとか思いつくもん。なにそれ? ネオなにそれ? 動植物? スベスベマンジュウガニとスベスベマンジュウダニっぽい系列で、ウンゴロペレツモチルチルニャーニャとウンゴロペレツモチルチルニびゃー!? ごじゃー! ぴー!」
なに言ってんの。と思うと同時、紫乃は観念して、ことの全貌を白状することに決めた。
話すと長くなりそうだったし、それよりも葦呼の磁気嵐の再発を懸念したため、その日はそれで終えてかけ直すことにすると、葦呼がこの日の夜を指定してきた。
そして、その挙句が、この相槌というわけだ―――だろね。
「だろねって。どうして?」
紫乃が問うと、葦呼はきょとんと声のトーンを跳ね上げた。
「どしてって? え? どのへんが?」
「どうして葦呼は、すんなり納得してるの?」
「どっか疑問あんの?」
「どこか、って……」
「あいつ、今だから日本人なだけだよ?」
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