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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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.沈黙。

 説明を錬るためのそれでなく、こちらの様子を吟味するかのような葦呼のそれに、紫乃は目を白黒させるしか出来なかった。

「ど、ういうこと? それ」

「あいつね。日本の大棚企業に飼われた技術屋の父親にくっついて生きてきたから、生まれこそ欧米だけど、中近東から欧州まで転々としながら、長期休暇の時に都合がつきゃあ兄と妹が住んでる日本の実家に滞在ってサイクルで育ってきてんの。手に負えない出来損ないなら完璧に日本へバトンタッチされたんだろうけど、色々そつなくこなせちゃったもんだから、親父も甘えが出てあいつを手放さなかったみたく」

「甘え?」

「あいつ、骨格からして母親似っぽいもん。ケイイチさんって、父親を名前で呼んでたし。あのモロ出しの標準語とちぐはぐする『俺』自称だって、日本に住み着いてから顰蹙買って『わたし』自称を無理矢理ひん曲げたっぽいし。知んないけど」

「……お母さんがわりだったってこと?」

「知んないってばー。んなセンチメンタルなこと抜きに、安心材料として子どものひとりくらい手元に残したかっただけかも。家に帰れば父親としての地位と統制を取り戻せるってシステムは、規律を乱さないためにも重要だろーしー」

 急にうだうだと語尾を濁らせて、葦呼は閑話休題とばかり話を戻した。

「まーとにかく。日本の医大に入るためにこっちに腰を据えるまで、ずっとそんな感じだったみたい。だからそれまでは、それこそ口癖が面倒臭いに固定されちゃうようなスクールライフだったんでしょ。バブル景気前じゃ海外旅行する日本人すら珍しい時代だったろうし、バブル景気でガーっと日本の知名度が跳ね上がった頃には、それこそ日本人が珍しい時代だったろうし―――それでなくとも、クラスとしちゃ当然の反応だろうけど」

「クラス?」

「珍獣をカゴ無しに飼育するってなると、それだけでそわそわして極端になっちゃう奴も教室にひとりふたり出るだろーし、周りもそれを見世物としか思わないだろーってことさ。がきんちょなんか本能のカタマリだから、あいつ幼生時代は身を守るのさえ精一杯だった時くらいあったんでないの」

「―――それ、麻祈さんのこと言ってる?」

「そりゃそうだよ。なに言ってんの?」

 と、あっけらかんと続けて、嘆息する。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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