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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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.   たまらず、そのまま夜道を歩き出す。

 軽い足音が、ついてきた。

「……麻祈さん、親指のそこ、汚れて―――」

 そうして、麻祈に触れてきたのは、声だけではなかった。

 後ろから。指が。たくさん。この素手に。

 “このあとのことを知っている”。

「―――……ッ!」

 ぞっと肺腑からせり上がってきた悪寒に、身体が反射した。指の感触を引き千切るべく、振り向きざまに腕もろとも手先を薙ぎ払う。パシンと乾いた音を立てて、相手との接点が爆発した。ああ、スターターピストルは鳴らされてしまった! 始まる―――

 せめて半身を返して、このあとの相手を確かめる。しかない。

 のだけれど、そこにいたのは、坂田だった。

「Er? Ah,」

 呆けて、麻祈は自失した。そこなのに、どうして坂田がいるんだ? そこ? どこ? 今は、いつ、どこ―――

 そのすべてを理解して、麻祈は戦慄した。

「す、すみません」

 伸吟を裂いて謝罪を口走りながら、坂田へと手を伸ばす。そこを、痛めさせてしまったかと思ったからだ。今しがた、かなぐり捨てておきながら。

 ばっと半身を引いて、腕ごと彼女から遠ざけてから、麻祈は早口を重ねた。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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