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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「……会計をと、お願いしたはずですが」

「したんです、けど」

「した? どうして俺がサインしに行きもしないで、カード決済が済むんです?」

 馬鹿げた言い分に、正論を突き込む。

 麻祈の財布を両手で胸元に握りしめて、坂田は躊躇いながらもこちらにやってきた。無駄に肩掛け鞄をさすったりしながら、もじもじと打ち明け始める。

「あの。すいません。カードじゃなくて、勝手に……この中の、五千円で」

「は?」

「ごめんなさい。でもあの、篠葉さんが、なんだかカードの機械もおかしいからって言うし。わたし、人様のそういうの、扱ったことがなくて、こわくて。篠葉さんに任せてたら、こうするのが一番だって、麻祈さんの財布を拝借して、会計を済ませてくれたものですから……あの、これ、おつりです。小銭入れ、このお財布と別ですよね? 使った感じなかったので」

 麻祈の財布を持った手を胸倉から下ろすと、その下から、もう片手の握りこぶしが出てきた。どうやら後者には、釣銭を保持しているらしい。

 疑念はますます深まるしかない。カード決済で釣は出ない。のみならず、算数からしておかしかった。呻く。

「俺、確か今日、五千円一枚くらいしか財布に入っていませんよ。だったら足りるはずないでしょう。支払い」

「え? だって、あの料理、全部で四千円ちょっと切るくらいでしょ? お酒を一杯飲んだにしても、麻祈さん、わたしと同じもの食べたんですから。足りてますよ。五千円で」

 そこまできて―――

 食い違いの正体を、悟る。

 悟りを開くのは数瞬だが、沈黙は数秒も続いてしまった。ただ黙り込んでいるのも馬鹿馬鹿しく、せめて坂田から受け取った革財布の中身を確認してみる。ついで、硬貨団子の皮―――レシートに記載された明細も。

 動かぬ証拠に、麻祈は動じることさえできなかった。

「割り勘って。あなた」

「え? え?」

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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