「告白されたのに、葦呼は、恋愛する気、無かったんだね」
「てか、あいつだって多分そんな気なかった」
「は!?」
ぶったまげた拍子に、余韻も吹き飛んだ。
そんな威力も知らずに、葦呼はいけしゃあしゃあと続ける。
「あいつはひとりで歩いていける奴だから、あたしと並んで歩いてみてもいいかもって思えただけだろ。もとから趣味友だったし。そうなると、あたしを妥当じゃないと判断する致命的欠陥も無かった。じゃあ試してみるかって」
「……………………」
自分の立場的に、考えないものが無いでもなかったが。
それはさておき、現実的に問い質せることと言えば、これしかない。
「葦呼は、そんな彼に、どう応えたの?」
「不明瞭なポイントをディスカッションにかけた」
「ポイント?」
「もう充分仲良いのに、なんでまた別の角度から仲良くなり直す必要あんの? って。そしたらあいつも、そりゃそうだわな、ならケンカでもしてまた仲良くなりたくなったら再検討すっか、って。んで、今に至る」
「あんたら」
と、苛立ちを噛んだところで、葦呼のせりふを思い出す。特別な絆じゃなく、どこまでも同類なだけ―――とどのつまり、
「単なる似た者同士じゃん!」
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