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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「こー言っちゃなんだけど、それって副産物なだけでない? あいつはキングなだけで、キングらしく助けとかなきゃーって手を届かせた範囲に、紫乃がいたのは偶然だよ。きっと、紫乃が特別だから手を差し出したんじゃない」

「ないにしても。大丈夫」

「大丈夫って。おぬし」

「大丈夫。今度は、わたしから手を差し出すから」

 葦呼が、説教を呑んだ。

 その隙に、言い終えてしまうことにする。言う前からとっくに始まっていたことなのに、まるで見せつけるようにするなんて、気恥ずかしいことこの上ないのだが。

(野暮って、こういうことかな)

 紫乃は、口を開き続けた。

「そうして、差し出し続けるよ。手を借りたいから近寄るんじゃなくて、ずっと手を繋いでいたいから、いつだって隣にいたい―――それを実現できるように、わたしも変わる。麻祈さんの手を借りないで、足を引っ張らないで、自力でついていけるように。いつか、手をとってもらえるように、頑張るよ」

「……そっか。なら、したらいいよ」

 途端だった。葦呼の吐息が、はぜたのは。

 くしゃみでもないし、咳でもない。その気配が含んだ感情は、温かかった。

「なに。急に笑うとか」

「いやあ。似たよーなことを違うふうに言って、こんな感じにポカーンとしたことあったなぁって、つい昔のこと思い出しちゃってね。分かった。そっか。紫乃も、大切なものを譲らないって決めたのか。そりゃ頑張れるわな。イエモト並みに無敵になれる」

「? 葦呼?」

「なら大丈夫だよ―――保障する。あたしはそいつを知っている」

 と、葦呼が張り切って喝破する。

「協力するぞー。なにせ相手はあのアサキングだし。おっし、腕の見せ所。今こそ鳴るべし、ちからこぶー。ムキッ。あれ? 曲げたのに鳴らない。お前それでも上腕二頭筋かーくそー。紫乃。腹立ったから、もう腹を横にすることにする。寝る」

「あの。葦呼―――」

「じゃーね。ぐう」

 とまあ、またしても一方的に張り切り終えると、携帯電話の通話まで切られてしまった。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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