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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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. その日も紫乃は、帰宅してから食事をした。食べ終えたので歯を磨いた。磨き終えたから風呂に入った。それから上がれば顔がかぴかぴするから、自室にて化粧水と乳液で保湿した。保湿し終わっても寝るまでまだ早いから、テレビを見に居間に行くんだと、それを疑いもしていなかった、その時―――

 ベッドに置いていた携帯電話が音声着信を歌い出して、目が覚めた。

(え? 寝てないよ? わたし)

 そんなの、当たり前の筈なのだが。

 それでも紫乃は、きょとんとして立ち上がった。座る場所を、化粧台の椅子からベッドの端っこへと移して、そこに放り出していた携帯電話を手に取る。

 表示されていた名を目にして、息が詰まった。

.
単にそれは、奇妙な心拍をひと鳴きさせた心臓に意表を突かれたから、そうせざるを得なかっただけだったのだが、その動悸の原因も分からないというのは、電話に呼び立てられている最中においては危機的だった。名前を見ただけでこれなのに、電話に出るなんてしたら、自分はどうなってしまうのだろう? 話せるだろうか? それとも、話し続けてしまうのだろうか? どれが正しいのかも分からないが、確実に自分なら失敗しそうな気がしていた。ならば電話に出なければいい。ただ、こうしていればいい。そうしてさえいたら、簡易留守番電話に切り替わる―――

 という直前、通話をオンにしていた。

 そうしてしまえば、電話に出るしかない。耳へと、それを近付ける。

 あの日と同じ、声が届いた。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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