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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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. 迷惑、こんな程度、みじめ、なにもできない、どうしようもない。それらを、ウツと記した片仮名を中央に据えた関連図として、メモ用紙に書き留めていく。着々と、ケーニヒスベルクの橋を思わせる図表が白紙を侵食した。

 それを、麻祈は見詰めていた。

「ごめんなさい。迷惑ですよね。疲れてるのに、こんな話。やですね。気にしないでください。変なの。こんな、しみったれちゃうなんて、あたしも疲れてるみたい―――」

 耳から沁み入る声は震えている。つかえて先に進めない。それは自分の非であると、彼女は謝罪を繰り返す。

 それこそが誤りであることを、彼女は知らずにいるからこそ。繰り返す。

 よって麻祈は、それを告げた。

「嘘ですね」

 告げ続けた。

.
「あなたは疲れてるんじゃなく、傷ついている。俺にはそう感じます。であれば、それは愚痴ではありません。だったら、俺に聞かせてくださいませんか?」

 そして、彼女の沈黙が始まる。

 ただしそれは、拒絶ではない。坂田は戸惑い、葛藤している。導かねば挫折するかもしれない。麻祈は、囁き続けた。自分はここにいることを、そこにいる坂田へ示し続ける。

「坂田さん? 坂田さん。どうしました? どうか、したんですか? 坂田さん」

 ぐう。またもや、その音が聞こえた。そして、それを飲み込む音にすべきではないと麻祈は判断していたし、ならばどうすべきかも分かっていた。

 それゆえに、継続せずにいられない。

「あなたが、どうして、どうかしてしまったのか。それを、俺で良ければ、教えてくださいませんか?」

 ぐう。それが聞こえる。

 だから麻祈は、声音を絶やさない。力ある信念を持って、誠心誠意の言葉を紡ぐ。己の無力と無能を信じ込んでいる者へ、才知ある教導者として、正道の存在と正道を行ける者への賛美を言祝(ことほ)ぐために。

 そのすべてが、真っ赤な嘘であったとしても。

 麻祈は、口を開いていた。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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