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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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「そう思うのね。紫乃は」

 ぽつりと、葦呼が応答してくる。

 続けて、吐いた息で、口の端を歪ませる。鼻で笑ったのだ。

「なら、アサキングはクソ野郎だね」

「え?」

「あいつ、あんたの電話に、ずっと応えたんでしょ。勉強が出来て、すごい大学も出て、立派にお医者さんやってるあいつは、あんたなんてみじめさからしてちっとも分かりゃしないのに、いけしゃあしゃあと、ずうずうしく。それって上っ面だけじゃん。すっげえクソ野郎」

「そんな言い方―――!」

「無いと思うよね。あたしもそう思ってた。たった今、あんたの口から聞くまでは」

 顔色が変わった……急激に。二回も。それを自覚する。

 上がった血の気が、途端に下がった―――その潮騒を聞きながら、紫乃はただ眩暈を覚えていた。

 それは、葦呼も同じようなものらしかった。ぐったりした雰囲気に、しょんぼりした気配を注したせいで、顔の角度を変えただけでひと回りは老けこんでしまって見える。そして、そういった老婆が老婆心を出す時のように、諦め慣れた疲れ声で、付け足してきた。

「ねえ紫乃。あたしらは別に、あんたの引き立て役になるために、あたしらでいるんじゃないだから」

 そうだ。それだって、知っていたはずなのに。

 頑張れることを知っていたはずなのに、愚かしくも身勝手に楽をしようとしてしまう。見限り、見捨て、そこに膿む卑屈の味に慣れ切った舌は、またもやの麻痺を期待して呟くのだ……自分など坂田紫乃だからと。

 ひたひたと忸怩に侵されて、紫乃は唇を噛んだ。それを吐き出して、項垂れるしかなかった。

「……ごめんなさい。葦呼。わたし、友達に傷つけるようなこと言っちゃったんだね……ごめんなさい」

「うーん」

 と。

 あまりに素っ頓狂な悩み声に、こちらまで陰気をすっこ抜かして、紫乃は目をぱちくりさせながら顔を上げた。すると葦呼は、絵に描いたような思案顔で腕組みしつつ、目を閉じている。眉間には、綺麗にWの皺が入っていた。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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