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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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(諦めろよ。こわいんだろ? 嫌なんだろ? 俺に関わってロクなことなかっただろ? そうだよ。それでいいんだよ。だったら、―――)

 手が落ちると、肩も落ちた。目線も、下に傾ぐ。スカートの下に、やわらかそうな対のふくらはぎが覗いていた。

 眺める。いつしか、それは、舐めるように。

 素足の足首から、ひざ下のくびれ、そこから衣服に隠された太腿へと虚妄が及ぶ。その奥、更なる深みへと沈む。夏服は薄そうだった。実際、先日は、雨に濡れただけで透けていた……なめらかな産毛を生やした、やわらかそうな湯葉色の胸元と、そこに這う菫色をした静脈を思い出す。そう言えばさっきは夢うつつに射精しただけで、生殖器の刺激による快感を追い損ねていた。今なら塒(ねぐら)まで引っ張り込むまでもない。立位なら立位ならではの自由度と醍醐味が―――

(あーもう。ああもう。あほだ。サルだ。勘弁してくれ)

 臍の奥で悪寒が燃える。その火種を揉み消すように、麻祈は自分の横面を叩きつけた。そのまま、握り込む。

 その物音に異様に驚いた様子で、坂田が振り返ってきた。頬骨から鼻筋にかけて手をあてがったままの麻祈を見て、うわ言じみた震え声を振り絞る。

「ご、きぶり、素手で、やっちゃったのかと、思いました……」

「……例え話として、実に惜しい……」

 ひとりごちた途端に、坂田が鼻白む。

「おし、惜しかったんですか!? ニアミスったんですか!? 手!!」

「ははは。あはははあ。そんなわけありませんですよぉ。ははは」

 そうだ、惜しかったのは例え話だ。本能も害虫も、快感めがけてまっしぐらという点では、非常によく似た存在だ。あの虫も、本番前は丹念に戯れるらしいし―――

「おととい来やがれゲス野郎(Go fuck yourself, Dick!)」

 麻祈は最低音で呟くと同時、がん、と壁に頭突きした。頭蓋を痛めつける衝撃で、下腹の芯の疼きと妄想の熱伝導を堰き止める。不気味な行動の連発に、こちらへ近寄ろうとしていた坂田が身を竦めて後ずさった―――出来ればそのまま、実家まで逃げ帰って欲しかったのだが。

 あろうことか、つつつと間合いを詰めて、おどおどと片手などこちらに向けつつ、しおらしい声をかけてくる。

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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