(麻祈さん、合コンでどうだったって葦呼に聞かれたら、なんて言おう?)
応答は浮かばなかった……少なくとも、洒脱なそれは。楽しくはなさそうだった? 楽しそうに装っていた? そしてそれが、紫乃よりも上手だった? それとも……勝手な自意識から、合コンを楽しめない同属を増やしたがっていた紫乃しか、最初から最後までいなかった。とでも?
(わたし、あの人にとっての何でもないのに。こんなこと考えて。ほんと馬鹿)
失笑でもされたなら無力感を嘆いて楽になれるかもしれないが、どれを報告したところで葦呼は口のふちすら微動だにさせないだろう。彼女の無性的な感性を知っている以上は、そうすることなんか出来やしない。
ぐずぐずと内に篭っていると、閉会の時間となった。
ファンファーレのようにそれを宣告した陣内だったが、これは終了ではなく幕開けの合図だと、二次会の企画をお披露目する。男性らのみで会計を進めさせつつ、彼自身は大雑把に採った二次会の希望から、総合的に可もなく不可もないダーツバーを会場に提案した。紫乃自身は、財布を取り出しそびれた鞄の中の手をどうするべきか―――確かに葦呼は男性に振る舞ってもらって来いとは言っていたけれど、自分は合コンに参加しに来ただけで食事をせびりに来たわけじゃないんだから―――を思いあぐねているうちに、なんの意見も出せなかったのだが。
おおよそ肯定の方向へと全体の動向が流れたのを感じたらしく、陣内が予約を済ませた。そして、歓声を上げる。
「はーいそれじゃー、二次会トんじゃいますかーア!」
応、というニュアンスの嬌声やら発破が喝采されるスクラムに、自分だけが参加できない。
否。しない、という意味ならば。それは、紫乃だけではなかった。そもそも二次会という選択肢が、彼の予定から欠落していたのだろうが―――
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