「あさきの かんさつにっき」だん・おうしろう
この前から、あさきが、うちに帰ってきています。あさきは、ぼくのおとうとです。
ぼくが帰ったら、テレビを見ていました。夕方のニュースをやっていました。
そしたらいきなり、「いっつぁばーげん」「ざったばーげん」って言うのです。
びっくりして、ぼくもテレビを見ました。それは、漁港で「せり」をしているニュースでした。地べたに魚とかカニとかをゴロゴロさせたまま、ぼうしをかぶったおじさんたちが、変な手つきを見せ合いながら怒鳴りあってる、あれです。
ぼくは、「あれはバーゲンをやってるんじゃないよ。値段を言い合って、買い手を決めているんだよ」っていくら教えてあげても、あさきは「だから、そうでしょ! ノゥダァ! にゃにゃにゃにゃにゃーにゃっ! いっつぁでぃーる! いっつぁばーげん! ざったばーげん!」て聞きません。
今度じいちゃんに頼んで、あさきをちゃんと日本のバーゲンセールに連れて行ってあげたいなあと思いました。
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ええと。がきんちょ桜獅郎は勘違いしてっけど。ちびすけの俺は、ちびすけなりに合ってるから。
「It's a bargain!」「That's a bargain!」は、日本語で言うと「(その案に)のった!」って意味。「bargain」は契約や駆け引きって語句だから、「これぞ契約(It's a bargain)!」ってのは「(その案に)のった!」だ。
そのあとに出てくる「いっつぁでぃーる!」は「It's a deal!」ってとこか。これは和訳すると、「そいつで手を打つぜ!」だ。「deal」は取引とか分け前って意味だから、「そいつで(交渉は成立だ)手を打つぜ!」になる。
日本の漁港の競り(競売)は、お互いに取引の金額を指のサインや掛け声などで示すことで、最終的に売買を契約するだろ? だから、ちびすけの俺にとっちゃ、あの風景は「だから、そう(≒値段を言い合って買い手を決めてるん)でしょ! No duh! Nyah nyah nyah nyah! It's a deal! It's a bargain! That's a bargain!」なわけだ。
……てーか。俺に言わせれば、日本じゃ、期間限定安売り(その期間だけ正規の値段から割引して販売する商店イベント)のことをバーゲン・セールとか言ってるが、それこそトンチンカンなんだよ。bargain は、名詞では、ハナから安い掘り出し物のことだぞ。そいつを sale(特売)する?
どんだけ。(←死語:記事投稿日時現在)
ちなみに「No duh!」は「ンなこと、とっくに知ってるっての! そっちこそ、それを知らないな?」って鼻で笑う感じの、小馬鹿にした応酬。「Nyah nyah nyah nyah!」は日本耳にゃ「にゃにゃにゃにゃにゃーにゃっ!」とか「にぇにぇ、にぇーにぇにぇにぇにぇ?」って聞こえたかも知らないけど、俺に言わせたら「へっへーん! やーい! やれるもんならやってみろーい!」ってな、からかい文句だ。がきくせぇがきだなぁ。俺。まあ、がきだし。俺だし。しょーがねーけど。大人でも No duh! とか Nyah nyah nyah nyah! とか使う時もあるけど。めんどくさ。
まあ、食い違いはあっても間違いはなかったっちゅーこったな。んじゃ、今回はこんなとこで。
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