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きみを はかる じょうぎは ぼくに そぐわない

 本作品は書下ろしです。また、この作品はフィクションであり、実在する個人・地名・事件・団体等とは一切関係ありません。


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無題

 いこっちのほっぺに花丸を落書きしてるとは思えないイケメンっぷりに笑う


「皆さん。今日はありがとうございました。俺は、これでお暇させて戴きます」

 女性と交換したアドレスを確かめるでもなく、畳んだ携帯電話をボトムスに突っ込んで。自然なタイミングで、麻祈が席を立った。彼女らの引き止めようとする懇願も、彼の退出路を自然に塞ぎながらの陣内の夜遊び勧誘も、蹴るでもなければ従うでもない……つまりは、聞いて、聞き入れて、聞き入れたものを聞き流した。上着を正して椅子を整え、今回の夜会の同席者への感謝を、言葉と仕草で手向ける。

 紫乃はと言うと、やはり彼のようにスムーズにはいかなかった。慌てて席を立ってコートを着込み、陣内へと小ぶりに挙手をする。

.
「すいません。ごめんなさい。わたしも、これで」

「そっすか。残念」

「すいません」

 首を引っ込めるように茶目っ気たっぷりに笑いかけてくる陣内に、気を悪くした様子はない。その寛大さに甘えているような後ろ暗さに、紫乃は謝罪を重ねた。大勢を二次会へと先導するのに忙しい彼は、それを聞いている様子ではなかった―――実際、紫乃ではなく、とっくにグループの方へと身体を反してしまっている。が、それでも誠意だけは、言葉にしなければ伝わらないのだから。再度、口を開く。

 のだが、それ以上の数と勢いで、そちらメンバーの口が大きく割れた。

「じゃー脱落者は置いといて。残りの皆さんで夜の街へゴー!」

「ゴーう!」

 それを、見ているしかない。自分はもう、そこに加えてもらっていないのだから。
だとしても、加えてもらっていたのは事実なわけで、そのことに礼をすべき相手は、現在のスクラムの主へとウエイトを移してしまっているのだし、そちらを優先するならば自分はすっと退散すべきだのだ。退散すべきなのだけれど。自分が不恰好に動いて去ろうとしたら、逆に彼らには目障りかもしれない。こんな時は、本当に、影も形もなくなってしまうべきなのに。自分なんかは。

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 いこっちのほっぺに花丸を落書きしてるとは思えないイケメンっぷりに笑う

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プロフィール

HN:
DNDD(でぃーえぬでぃーでぃー)
年齢:
17
性別:
非公開
誕生日:
2007/09/09
職業:
自分のHP内に棲息すること
趣味:
つくりもの
自己紹介:
 自分ン家で好きなことやるのもマンネリですから、お外のお宅をお借りしてブログ小説をやっちゃいましょう(お外に出てもインドア派)。

 ※誕生日は、DNDDとして自分が本格的に稼働し始めた日って意味ですので、あしからず。

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